東京2020大会の裏側をクローズアップ!競技運営チーム編練習会場チーム競技備品チーム オリンピック・パラリンピックともに、柔道競技開始日の5日前からNOC(各国オリンピック委員会)・NPC(各国パラリンピック委員会)は講道館を練習会場として利用していました。練習会場は、講道館の5階から7階の11の試合場すべてを使用しています。練習は、セッション(75分)毎に分けられた枠を事前に予約して実施できます。コロナ対策の観点からも、畳上が密にならないように事前に申告されている選手団の人数から道場や畳の割り当てを配慮しました。また、選手たちの安全を考慮し、セッション間には、使用したすべての道場、廊下、更衣室、手すりなどの消毒作業を行いました。 結果として、オリンピックでは約120のNOCから延べ2000名、パラリンピックでは約40のNPCから延べ834名を迎え、日本武道館での試合に臨むサポートをしました。 オリンピック・パラリンピックにおいても柔道競技では、ビデオ判定システムが導入されています。これらの機材の手配や試合場付近に設置されるカメラの運用を、競技備品チームは担当しました。また、今大会の抽選はオリンピック・パラリンピックともにオンラインで実施されています。国際柔道連盟のITチームと連携し、機器の調達から設置まで万全の準備を整えることも競技備品チームの役割の一つでした。FOP(Field of Play)チームNTO(国内技術役員)を中心に競技運営を担うチームです。畳職人:出戸敏之さん(77歳) 出戸敏之さんは20歳のとき、1964年の東京オリンピック柔道競技を日本武道館で観戦し、金メダルを獲得した岡野功先生との縁から柔道畳に携わるようになった。 以降、国内大会・全日本チームの地方合宿での畳敷込みの経験を通じて畳職人としての地位を築き、2000年のシドニーオリンピック以来2度目のオリンピックに臨んだ。 激しい試合が展開されることにより畳に隙間ができてしまうと選手のケガの原因となってしまうことから、試合期間は早朝から夜遅くまで長年の経験を活かした畳の状態確認に余念がなく、畳の隙間が原因となるアクシデントは一度も起きなかった。 本人に今回の感想を聞いたところ「業務のかたわら試合も数多く見てきているが、ルールの変遷や技術の多様化により、『JUDO』が国際的に広く普及されているのだと再認識した。前回観客席から見ていた畳の上に自身が立つことができ大変光栄、長年柔道に携わってきて良かった」と振り返り、自身の経営する会社の社名「セイエイ」の由来どおり、畳管理の「精鋭」として東京2020を終えた。▲畳消毒:コロナ対策の一環として、定期的に試合場の消毒を行いました▲計量:オリンピックの公式計量は、各階級の試合日前日に選手村にて実施されました◀▼セッション間には、出戸さんの指導のもと2試合場から1試合場に畳を入れ替えました24まいんど vol.29
元のページ ../index.html#25