まいんど vol.28 | 全日本柔道連盟
49/52

委員会 Information教育普及・MIND委員会 形部会 柔道の練習方法は、既定の攻撃に対応する「形」と不定の攻撃の対応する「乱取」の2つがあります。それぞれ長所と短所があり、両者を学ぶことによって柔道の技の本質を体得できると考えられています。 講道館柔道の形では、主に7つの形を行っております。投の形・固の形・極の形・柔の形・講道館護身術・五の形・古式の形。今回は「講道館護身術」について、形部会の講道館護身術指導担当の道場良久委員と濵名智男委員より解説させていただきます。講道館護身術 講道館護身術は、嘉納師範が逝去されてから18年後、昭和31年に新たな講道館の「形」として制定された護身の術です。 この「形」は、他からの危害から身を護ることを直接の目的とし、組む、絞める、打つ、突く、蹴る、短刀、杖、拳銃などによる、現代の我々の日常生活のなかにありそうに思われる攻撃を想定し、これらに適応した柔道の技による防御法を表現したものです。 講道館護身術の技法は「極の形」とほぼ同類のものですが、「極の形」と異なる特性は、それぞれの技において受取が対面した場合、側面からの場合、背後からの場合など、受取双方が接近して間合いに入った瞬間の「行合い」の攻防をとる方法にあります。また手首の関節をとる技や当身技を用いる攻防の仕方も取り入れられ、組み合った場合はもちろん、相手と離れた場合における柔道の技術を練習できるように工夫されています。 技の数は「徒手の場合」と「武器の場合」と合わせて21本あります。「徒手の場合」は「組みつかれた場合」と「離れた場合」とで12本。「武器の場合」は「短刀の部」「杖の部」「拳銃の部」とで9本です。 実際に講道館護身術を練習する際には、まず、身体の捌きを十分に行うことに気をつけます。いつでも相手の動きに順応した体捌きができるように自然体を保ち、相手に対する方向(角度)と間合い(距離)を正しく取り、相手の体勢の変化に応じた力を使いながら技を極めるようにします。自分の体勢を崩さず、身体の動作を技の理に合わせる練習を積み、慣れるに従って次第に速度や鋭さを加えていきます。 柔道の技を護身として生かす場合には、組み合った姿勢からだけではなく、離れた位置から、どのように接近し、どこに組みつくか、または打つのか、蹴るのか、互いの攻防を考える必要があります。 講道館護身術を学ぶことで、新たな柔道の発見があるかもしれません。

元のページ  ../index.html#49

このブックを見る