直前特集東京2020オリンピック日本代表は新井千鶴。この階級は、世界ランキングがあまりあてにならない、非常に混戦状況にあります。体型や柔道スタイルもさまざまで個性が強い選手が多いので、選手の個性を把握し、しっかりと対策をして臨みたいと思っています。ライバルとしては、ピノ(フランス)、ファンダイク(オランダ)が抜けており、続いて今年の世界王者マティッチ(クロアチア)、タイマゾワ(ロシア)ら。新井としては、組ませてもらえないことを前提としつつ、足技、内股を中心に速い攻めをできるかがポイント。新井らしく、荒々しく切れのある柔道を見せてほしいと思います。濵田尚里の状態は、4月初旬のグランドスラム・アンタルヤで優勝しており、大きなケガもなく、順調に調整できています。海外の強豪選手としては、一番に挙げられるのがマロンガ(フランス)。2019年の世界選手権で、濵田は、団体戦では勝ちましたが、個人戦で負けており厳しい相手です。でも、前半を凌いで後半勝負になれば勝機は十分にあると思います。また、今年の世界選手権優勝のワグナー(ドイツ)も勢いがあり怖い選手です。濵田には強烈な武器である寝技がありますが、組み手、立ち技のスキルも非常に上がっており、そこがカギになるかと思います。素根輝ですが、グランドスラム・タシケントで優勝し、その後は日本で、個別分散合宿などもはさみながら調整しており、順調に仕上がってきているところです。海外の強豪選手としては、オルティス(キューバ)とディコ(フランス)が挙げられます。オルティスはロンドン・オリンピック優勝、リオデジャネイロ2位、経験豊富な選手です。素根との対戦成績は3勝1敗で素根が勝ち越していますが、調整能力に長けた選手なので油断はできません。ディコは、昨年から国際大会破竹の6連勝。素根と同世代(21歳)で、いま最も勢いがあり警戒が必要な選手です。担当コーチ上野順恵担当コーチ塚田真希担当コーチ秋本啓之女子70kg級女子78kg級女子78kg超級渡名喜風南は、やや小柄な体格ながら、足技、担ぎ技、寝技とマルチにこなす攻撃型の選手。2017年に世界選手権で優勝しており、その後も常に世界の上位に位置し、今年に入ってからも1月のワールドマスターズで2位、2月のグランドスラム・カザンで優勝という実績をあげています。東京オリンピックでライバルになるのは、2018、19年世界選手権の決勝で敗れているビロディド(ウクライナ)、ワールドマスターズで敗れたクラスニキ(コソボ)、ムンフバット(モンゴル)、ブクリ(フランス)の4選手。技術面、フィジカル面でさらに磨きをかけ優勝を狙います。日本代表は阿部詩。相手を豪快に投げ飛ばす“超攻撃型”の選手です。腰技、足技、そして寝技を武器にし、完全勝利を目指します。2018、19年と世界チャンピオンになり無敗を続けてきましたが、2019年のグランドスラム大阪でフランスのブシャールに敗れました。そのあと、技の幅を広げ、今年のワールドマスターズ、グランドスラム・カザンで優勝。世界中の選手が徹底的にマークしてくると思いますが、どんな状況であっても勝負にこだわり、強い精神力で戦い抜く準備を進めています。ライバルはブシャール、ジェフリダ(イタリア)、ケルメンディ(コソボ)。担当コーチ福見友子女子48kg級女子52kg級芳田司ですが、しっかり稽古できています。1月のワールドマスターズは約1年ぶりの試合でしたが、準備してきたことを試し、手応えはありました。その後、国内での個別分散合宿を中心に調整を続けて来ています。芳田と言えば「内股」という印象があると思いますが、担ぎ技、肩車、足技なども出せる状態になってきています。寝技の強化も進んでいますので、攻める姿勢を持って頂点を目指したいと思っています。ライバルは出口クリスタに競り勝ちカナダ代表になったクリムカイト、若手のシシーク(フランス)、パワーのあるリパルテリアニ(ジョージア)。田代未来に関しては、分散合宿でも技術面、メンタル面、体力面等テーマを持って、田代らしく、しっかりと取り組んでいます。オリンピックの延期に伴い、トレーニング期間も伸びて、パワーアップ、スタミナアップした田代を見てもらえるかと思います。オリンピックは柔道人生の集大成、準備してきたものを出し切るというテーマで頑張っています。最大の強敵はアグベニュー(フランス)。大外刈、払巻込に威力があり寝技も強い選手です。また、トルステニャク(スロベニア)はリオ・オリンピックの金メダリストでここ一番に強いということで警戒が必要だと思っています。担当コーチ守安由充女子57kg級女子63kg級取材/5月30日、6月3日担当コーチに聞く13まいんど vol.28
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