まいんど vol.27 | 全日本柔道連盟
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2・内側を支える靱帯内側を靱帯は、脛骨付着部より踵骨に向かって扇状(三角形状)に広がるため三角靱帯と呼ばれますが、実際には4つの靭帯の集合体で外側よりも強い靭帯です。浅層と深層に分かれます。浅層は脛骨内踝から前下方へ舟状骨を連結する脛舟部と脛骨内踝と踵骨載距突起を連結する脛踵部があります。深層は前脛距部と後脛距部からなり脛骨と距骨を連結します。3・脛腓関節遠位脛腓関節は、前脛腓靱帯、後脛腓靱帯、骨間靱帯などで強固に連結する靱帯結合(Syndesmosis)で、関節軟骨と関節腔をもつ滑膜関節とは異なります。この靱帯を損傷し脛腓間の連結が緩むと、距骨が脛骨や腓骨の関節面と衝突するようになり、関節軟骨損傷や関節の変形を生じます。【受傷機転】主に足関節の内返し(内反)強制と外返し(外反)強制により捻挫に分けられますが、そのほとんどが足関節の内返し(内反)強制により起こります。内返し強制は主に足関節外側の靱帯を損傷し、外返し強制は足関節内側や脛腓関節の靱帯損傷を起こします。足関節捻挫の多くは内反捻挫であり,足関節捻挫の70~ 80%を占めていると言われます。足関節捻挫の受傷機転としては、内返し捻挫は外側に動くような切り返し動作などが身体接触を伴わないものがありますが、投げ足のような場合の受傷は外返し捻挫となることが多いです。またランニング中(特に下り)に踏み外したりすることも多く、柔道の練習以外でも起こります。【診断】足関節周囲特に外踝や内踝周囲に腫れや痛みが生じます。痛みの種類や程度はさまざまで、安静時、動かしたとき、損傷部位を押したとき(圧痛)、体重をかけたときに痛みがあります。また、損傷部位に熱感や皮下出血が生じることもあります。強い腫れや皮下出血がある場合はRICE処置を行い、骨折や関節離開(特に脛腓関節)の有無を確かめるために医療機関を受診しましょう。捻挫の程度や損傷した靭帯によっては、痛みを感じにくいこともあります。治療を選択するうえで重症度の判断が必要です。病態の観点では、損傷部位や程度により、1度、2度、3度と分類されており、治療方法選択の判断の目安としています。靭帯の損傷程度によって、1度:靭帯線維の小損傷2度:靭帯の部分断裂3度:靭帯の完全断裂と重症度を分けています。この分類では2度と3度に治療の分かれ目があり、この違いを正しく行うことが必要です。3度のような完全断裂では、関節の不安定性があり、ギプス固定や手術(縫合)などを行わなければ修復できないと考えられるからです。外側の靭帯損傷では、一般的にⅩ線診断において距骨傾斜角が10度以上、前方引き出し現象が8~10 以上で、不安定性の強い複数靭帯損傷例には観血的に靭帯修復術を選択すると言われています。保存療法(ギプス)で3週間程度の固定をする方法でも予後良好と言われています。これほど頻度の多い外傷であるのに明確な診断基準や治療方針がないという難しいケガですが、反対の見方をすれば、さまざまな方法で治療可能とも言えるわけです。ただし最も多いとされる内返し(内反)強制による前距腓靭帯は、背屈で弛緩し、底屈で緊張します。そのため3度損傷に対する保存療法では背屈位にしないと靭帯が伸びた状態で癒合し不安定性が生じる可能性があります。さらにいわゆる取り外せるギプスは早期の炎症や荷重負荷の軽減のみで靭帯治癒の観点では修復できない場合があることも知っておいてください。また脛腓関節の靭帯損傷では3度損傷の場合は不安定性が解消できないので手術が必要です。2度損傷では3~4週間ほど痛みが残る場合があります。【復帰までのポイント(単独例の場合)】1度損傷の場合は、荷重時の痛みや腫れがなくなればテーピングをまいて再受傷を防ぎながら運動可能です。2度損傷では1度より痛みや腫れが多いので時間がかかります。日常生活ができるようになったらテーピングをしてランニングや打ち込みを開始し、2~3週間をめどに可動域と筋力、バランス能力を見ながら乱取りを開始しましょう。3度の場合は背屈位でのギプス固定(4週程度)のあと、可動域と筋力、バランス能力を見ながらさらに4~8週程度で復帰となります。【再発予防】体重がかかったときの左右へのバランス能力が再受傷を防ぐ(固有感覚と言います)。不安定板や片足荷重でのトレーニングをしっかり行い、再受傷を防ぎましょう。テーピングだけでは防げませんし、バランスの障害があると何度も受傷したり、不安定感がとれなかったりします。図5 足関節内側の靭帯図6 靭帯損傷の重症度後脛距部前脛距部脛踵部脛舟部1度2度3度29まいんど vol.27

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