プロフィール
近藤 優子(こんどう ゆうこ)1982年 長崎県生まれ
徳山大学女子柔道部監督(2022年4月より 周南公立大学)
講道館柔道女子五段
主な戦績:
2008年~2010年 全日本実業柔道個人選手権大会 52㎏ 優勝
2010年 講道館杯全日本体重別選手権大会52㎏ 3位
2011年 全日本選抜柔道体重別選手権大会52㎏ 出場
主な活動歴:
2016年~吉岡塾KIDS☆JUDO体操教室 安全な転び方教室 実施
同時期に柔道指導を続けながら出産・子育ての大変さ面白さを身近に共有させて頂いた川口(旧姓:森本)先生からバトンを受け取りました、近藤優子です。どうぞよろしくお願いいたします。
私の生まれ育った長崎県五島列島は島全体が西海国立公園に指定され、目に入るすべての風景が美しく、五島灘の荒波で育った魚介類は驚くほど新鮮で美味しいものばかりあります。夏のエメラルドグリーンの海にぷかりと浮かべば何もかも自由になった気になり、かたや冬の海は厳しい海風にさらされ、時化(しけ)で船が出ない日もあり、試合前は船の出航状況に大いに気をもんでいたことを思い出します。当然、島の中だけでの稽古になる為、練習相手も限られ、出稽古でさえ時間もお金もかかり、簡単に強くなるとは言い難い環境の中、温かい家庭に育ち、生涯の友と出会い、素晴らしい指導者に恵まれ小中高校と島でのびのびと過ごしました。
そんな調子で人より何歩も遅れて勝負の世界に入った私だっただけに、全日本強化選手入りを果たしたのも28歳の時。島を出て進学した徳山大学、その後の実業団で柔道と共に人生の豊かさを教えて下さった故吉岡剛先生には感謝しかありません。
現在は、徳山大学で女子柔道部の監督として16名の選手の成長に寄り添いながら日々指導に当たっています。4月からは周南公立大学として私立大から公立大への移行となります。伝統を守りつつ新しいことにチャレンジする良いタイミングでもあると思うのでしなやかに前進したいと思っています。
そして、私自身「女性柔道家としてどう生きるか」というミッションを勝手に掲げ、模索する毎日も送っています。道場で柔道の指導をしてみたいけど、男性指導陣に気後れしてしまう。道場を開くにも(経済的なことを含め)リスクがありすぎる。など、女性柔道家だけではなく、様々な方が身近に柔道に関われない環境をよく目の当たりにしてきました。そんな中、自身の子どもが生まれ道場に来て走り転げまわる姿をみて、様々な子ども達が道場でたくさん身体を動かせたらどんなにいいだろうという気持ちも相まって、吉岡塾KIDS☆JUDO体操教室という幼児期に特化した柔道衣を着ない柔道教室を開講することにしました。今年で7年目に入るこの教室は山口県柔道協会とも連携し、現在は「幼児期の安全な転び方教室~なかよし柔道礼儀と受身~」という地域貢献活動型の幼稚園保育園出張教室としても行っています。
これからどのような広がりをみせるかは未知数のこの活動は果たして「世の補益」となるのでしょうか。答えはまだまだ先だと思っています。今後も0(ゼロ)を1(いち)にする活動を一歩一歩続けていきたいと思っています。
次回は近藤さんが尊敬する同級生であり、現在ブラジル柔道男子代表コーディネーターとして活躍している藤井裕子さんが登場します。学生時代は、中四国学生柔道連盟の海外遠征や合宿を共にしていました。