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大会情報

2005年IBSA世界柔道選手権大会(05.6.30-7.2)

IBSA柔道世界選手権大会報告

日本選手団監督 柿谷 清

IBSA柔道世界選手権大会が6月29日~7月2日まで、フランスのブロマーで開催された。会場となったブロマーは、パリからバスで10時間以上、海抜800メートルの高原で、スポーツセンターを中心としたリゾート地で、環境もよく、施設設備も充実した場所。
大会には、39カ国、187選手(男子144選手、女子43選手)が参加し熱戦を繰り広げた。参加人数は過去最多となり、視覚障害者柔道が急速に世界へ広がっている現れであり、さらに加速すると思われる。
日本選手団は6月26日に日本を出発、パリを経由して25時間連続移動の後に、ブロマー入りしたのは、翌27日の深夜であった。国際大会初参加の選手もいたので、選手村到着後は、時差と長旅の影響を軽減するために睡眠を優先した。27日の午後から練習を行ったが、心配した時差の影響などはなく順調な仕上がりを見せた。
29日の開会式後、選手、コーチの緊張感が高まりのなか、組合せ抽選が行われた。試合は30日と7月1日に男女体重別の個人戦、2日には男女国別団体戦が行われた。

60kg級3位の広瀬真選手(右)
66kg級・藤本聰選手の試合
選手みんなで記念撮影
会場風景

【日本選手団】
監督:柿谷清 コーチ:遠藤義安・佐藤雅也・島かおり 通訳:村本佳恵子 総務:富永三恵 選手:広瀬真(60kg級)・藤本聰(66kg級)・石坂啓(73kg級)・加藤裕司(81kg級)・初瀬勇輔(90kg級)・松本義和(100kg級)・山内真由美(63kg級)・小松璃佳(78kg超級)

【試合内容と成績】
39カ国187選手(男子144選手、女子43選手)、役員150名にボランティア50名が参加。試合会場はプレース体育館。男女各7階級及び男女国別団体戦がトーナメント方式。

【メダル獲得数】

順位 国名 合計
キューバ
アルゼンチン
中国
フランス
ロシア 10
スペイン
ブラジル
アゼルバイジャン
ハンガリー
10 イラン
11 ウクライナ
12 アルジェリア
13 韓国
14 日本
14 カナダ
15 フィンランド
15 イギリス
15 リトアニア

【日本選手団の成績】()内は参加選手
個人戦
60kg級(20名) 広瀬誠 3位
66kg級(24名) 藤本聰 1回戦敗退
73kg級(27名) 石坂啓 3回戦敗退
81kg級(25名) 加藤裕司 3位
90kg級(17名) 初瀬勇輔 1回戦敗退
100kg級(17名) 松本義和 2回戦敗退
女子63kg級(19名) 山内真由美 1回戦敗退
女子78kg超級(6名) 小松璃佳 3位
男子団体戦 1回戦 日本2-3キューバ
敗者復活戦 日本1-4ドイツ

【講評】
日本は仕事や経済的負担増のため、男子100kg超級の出場が出来ず、女子は2階級のみの出場となった。これに対し、諸外国の柔道熱は高まり、参加国と選手数は過去最高となり、そのレベルも高まっている。我が国と異なる点は、選手とコーチのプロまたはセミプロ化が進み、今大会では約半数に達している点である。しかし、どのような状況においても、勢いの差を解消し、結果を残していかなければならない。そして日本の柔道を世界に伝えていくことも使命となる。そのためにも、日本国内での柔道愛好家を増加させ、競争の原理でレベルアップを図っていくことが何よりも重要であると考える。日本選手はどの試合も苦戦を強いられた。海外選手の多くは連続技を主とし、粘り強い練習の跡が伺えるのに対し、日本選手の多くは基本に忠実な柔道をしているが、攻め方において粘り強さと迫力に、やや欠ける面があった。試合態度は海外の審判やコーチから高い評価を受けているが、結果を残すためには、さらに研究を進め海外選手やコーチから嫌がられるような柔道も視野に入れていかなければならないであろう。

【大会の特色】
2008年に開催される北京パラリンピック出場権獲得の参考となる世界ランキングが与えられる大会として初めて位置づけられた。
欧州柔道の中心であるフランスが主催国であること、パラリンピックの国に対する出場枠獲得のポイントが与えられることから、参加国・参加選手が膨大に膨らみ、過去最多人数となった。
参加者が急増し、世代交代が目立ち、アテネ大会のメダリストの多くが敗退し、若い選手の活躍が光った。
B1の選手がアテネ大会より減少。ルールとメディカルチェックの工夫等が課題となった。

【反省・まとめ】
スタッフの削減、選手へのサポート体制が後退するなど、選手に対するあらゆる場面での情報提供やサポートは不十分であった。視覚障害者が試合をするときの相手の情報収集は非常に重要で、いかに多くの情報を伝えるかにかかっている。この点に関しては、全員が出来る限りの努力をしたが、選手には不十分であった。次回からはスタッフの増員をし、情報を迅速に、しかも完全に伝達できるようにしていかねばならない。理想的には、選手1名に対し1人のコーチ、対戦相手の特徴を収集して選手とコーチに伝える専門家、通訳、監督の配置が望まれる。
大会全般を通し、参加国、参加選手の急増に伴い、試合内容はスピードある技が多く、レベルの高い好試合が展開された。この背景には、各国の選手育成が急速に強化され始め、選手の世代交代が急速に起こり始めたこと、そして視覚障害者柔道が世界各国に広まっていることが挙げられる。
このような状況下において、我が国の組織体制、コーチ体制、選手層を考えると、多くの課題が山積みしているが、これらの出来るところからの解決、そして何より私たち自身が基本の徹底を意識し、日々精進して練習に取り組まなければならないと痛感し帰国した。

日本視覚障害者柔道連盟理事長

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