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変化することを受け入れるしなやかさを

――いまの日本チームの印象は?

日本の男子は、かつての弱点であったフィジカルも強くなり、ルールへの対応もできて、なおかつ、もともとの強みである技術がしっかりあるチーム。加えて、海外の選手とも積極的に話して学んでいこうというオープンな雰囲気が出てきました。本当に隙のないチームで、常に目標にしています。

――どんなスケジュールで仕事をされているんですか?

ナショナルチームのトップになってからは遠征が多くて、月の半分くらいは外に出ています。残りは、国内の選手がいるところ、例えばサンパウロに行って、選手の練習を見たり。半分は家におらず、家にいるときも常に国内を渡り歩くという生活ですね。これが当たり前になっていたので、外出自粛で家にずっといることがすごく不思議です(笑)。

――今後の目標は?

住む場所も立場も変わり続けるなかで、行きつくのは「ただ柔道をやっていたい」ということ。ただ柔道をやっていたい、柔道が好きな人と一緒にいたい。柔道衣の似合うおばあちゃんになれたらいいなと思います。つい最近、福田敬子先生の映像を見たのですが、60歳を超えてもバンバン投げているんです。まずは同じように、60代になってもバンバン投げられる自分でありたいというのが第一の目標です。また、我々日本の柔道家はどこにいっても柔道家の見本として見られている。これは常に頭に置いて、背筋を伸ばして生きていかなければいけないと思っています。

――海外に渡ろうと考えている日本の若者にメッセージを

海外に出ると、変化することを受け入れられるようになるのが楽しい。自分が変わるというのは決して心地よいものではないので、どうしても一歩下がってしまうものですけど、海外に行くと変わらざるを得ない。こんなに違う世界があるんだと、多くのものを受け入れられるようになる。それを重ねていくと、お互いがリスペクトしあうというところに行きつきます。最初は辛いんですけど、これはぜひ経験してほしいですね。あと、海外に出て活躍する日本の若い人が増えましたが、私の周りで逞しくやっている人には女性が多い。変化を受け入れるしなやかさがあります。ぜひ後に続いてほしいと思います。

 

プロフィール

藤井裕子(Yuko Fujii)
生年月日:1982年8月18日生まれ
出身:愛知県
5歳で柔道を始める。
愛知県大府中学校→愛知県同朋高校→広島大学→同大学院修了。
コーチキャリア:2007~イギリスバース大学、2009~イギリス代表コーチ、
2012ロンドン五輪イギリス代表コーチ、2013~ブラジル代表技術コーチ、
2016リオ五輪ブラジル代表コーチ、2018~ブラジル男子代表監督
居住国:ブラジル(リオデジャネイロ)
現職:ブラジル男子代表監督、全柔連国際委員会在外委員、二児の母

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