プロフィール
大路歩美(おおじ あゆみ/旧姓:笠原)1989年 埼玉県生まれ
都立駒場高校 柔道部コーチ
講道館柔道女子四段
主な戦績:
2015年 講道館杯全日本柔道体重別選手権大会 48kg級 5位
2016年 全日本実業柔道個人選手権大会 48kg級 優勝
2016年 アジアオープン・台北 48kg級 3位
皆様、こんにちは。大路(旧姓:笠原)歩美と申します。JR東日本柔道部時代の先輩である渡辺華奈さんからバトンを受け取りました。
かな先輩(渡辺華奈さん)とはJR東日本時代から仲良くさせてもらっていましたが、
互いにJR東日本を退社してからはさらに会う機会が増えました。
厳しい階段トレーニングを一緒に行ったり、練習へ行ったり、時にはご飯を食べながら何時間も語ったり。
私の良き理解者であり、同志であり、身近で現役生活を支えてくれた方の一人です。
歴代の方々の素晴らしいJJ Voiceを拝読しました。大変恐縮ですが、このような機会を頂けたことに感謝し、執筆いたします。
私は今年の5月で、小学校1年から27年間続けてきた柔道を引退しました。大好きな柔道をおなか一杯できたことは私の誇りであり、支えて下さった方々に感謝しています。
正直なところ、27年間で何度か辞めることを考えたことがありました。それでも継続してこれたことにはいくつか理由があります。
一つ目は競技を続けるにあたり、たくさんの方が応援、サポートをしてくれたことです。
二つ目は自分が望むような大きなタイトルをとることができなかったことです。
三つ目は柔道人生の中で練習を強要されたことがなかったことです。
今回はこの三つ目についてお話させていただきます。
私は小学校一年生の時に父が指導する道場で柔道を始めました。当時は身体も小さく、なかなか試合で勝つことができなかったので、柔道の楽しさを実感することができませんでした。練習どころか、道場の端で友達とおしゃべりをしていました。しかしそんな私に、両親は練習を強要することはありませんでした。
中学生からは階級別になり、私と同じような体格の選手と試合ができるようになり、今まで言い訳にしていた体格差がなくなりました。もともと負けず嫌いな性格だったので、私よりも小さい選手に負けることが悔しくて柔道にのめり込むようになりました。
高校や大学、実業団でも素晴らしい指導者の先生に恵まれました。先生方はただ厳しい稽古やトレーニングを課すことはなく、それぞれの狙いを私が理解できるように指導してくださいました。このような指導を通じて、稽古やトレーニング、体調管理などを自分で考えて行う習慣がつきました。
自身の経験を通して、駒場高校柔道部での指導でも生徒の自主性を重視しています。人は強要されることを好みません。生徒が自分自身で考え、行動することが成長への鍵であり、稽古を継続するコツだと思っています。私は選手とのコミュニケーションを通してそういった手助けをするような指導を心掛けています。
コーチを務めるようになってから数年しか経っておらず、指導者として未熟ですが、先輩方のお話や指導方法などを吸収し、成長していきたいと思います。
最後になりますが、柔道を好きでいられたから27年間夢中になることができたと思います。
指導する生徒たちや、これから柔道を始める子どもたちにも柔道の楽しさを伝えていきたいと思います。
次回は、大路さんの大学時代(日本体育大学)の後輩にあたる、山下まな実さんが登場します。